【物語】
果報者(富豪)が祝宴の来客の進物用に末広がり(扇の一種)を買い求めるため、太郎冠者を都へ使わす。末広がりが何であるかを知らない太郎冠者は末広がりを買おうと呼び歩いていると、都の男に呼び止められ事情を聞きかれる。太郎冠者が末広を知らないと見てとった男は詐欺師(すっぱ)で、言葉巧みにだまし、古傘を末広がりと偽って売りつける。確かに傘は末広がりの特徴を備えていた。高値で傘を求めて帰ると、主人は末広がりというのは扇の事だと厳しく叱られる。太郎冠者は、すっぱが主人の機嫌の悪いときにと教えてくれた囃子物を思い出し、おもしろく謡い舞う。立腹していた主人の機嫌もしだいに直り、ついには浮かれだして主従仲良く謡って囃し回る。