一日の能の最初に勤めて、翁が天下泰平と国土安全を祈念し、且つその演能の場を清めるというもの。三番叟は、さらに五穀成就を寿ぎ、俗に三番を踏むというような足拍子が多く、 これは邪気を踏み鎮める呪法的なものが感じられる。また烏飛びや、種まきなどの型は豊作に因み 間信仰の名残りを思わせるものがある。
「所仏則の式三番」は、普通の 「公儀の式三番」とは趣きを違にし、釈迦の仏法を広め給うことを主して謡い、天地人三才を現わし天下泰平を祈る。三番叟も 瑞祥を顕し、五穀豊穣を祈るもので、黒川では古来より宮座に付随し、二月一日・二日両日に限ってのみ演ずるものである。