【作者】 観世小次郎信光
【季節】 冬(十一月)
【所】摂津・大物の浦
源義経は兄頼朝との不和からその疑いを晴らすため西国落ちを決意し、摂津の国大物の浦に到着する。静御前もここまでついて来たのであるが、弁慶の諫で都に帰す事になったが聞き入れず、義経に諭され帰ることにした。静は義経の前途を祈って舞を舞い、泣く泣く立ち去る。 〈中入〉
義経の一行が船出すると、海上がにわかに荒れ始め、平家一門の怨霊が波間に立ち現れ、義経一行を海に沈めようとする。中でも平知盛の怨霊は薙刀をふるって襲い掛かってくる。義経は刀を抜いて渡り合うが、刀では勝ち目がないと見た弁慶は数珠を揉んで祈祷をすると、 怨霊たちは祈りの力に負けて波間に遠ざかってゆく。