王祇祭に関わる神事・行事

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2月1日から2日にかけての旧例祭(王祇祭)は、特に黒川の地域・人々にとって最も大切な祭りで、関係者は一カ月の物忌みと精進の生活をおくる。

興行(こうぎよう)
1月3日、上座・下座の能太夫の家で、神官、太夫をはじめとする座の人々が、守護神の御尊面をまつる。王祇祭始まりの儀式。太夫から能の番組が発表され、人々は精進と稽古の生活に入る。

十七夜祭(じゅうしちやさい) 
1月17日、上座・下座の頭人(神宿となる当屋の主人。氏子の最年長者が順番につとめる)が、王祗守り、提灯持ちの二役を従えて春日神社に上り「宮司、能太夫と盃をかわす。宮司から頭人たちへ、国司の称号がおくられ、以後頭人は「ーーー守(ーーーのかみ)」を名のる。

豆腐焼き
1月中旬ごろ、当屋では親戚や近所の人が集まって祭りのふるまいに使う豆腐をあぶりはじめる。大きな炉のまわりに杉串にさした豆腐を並べ、焼き上げる。それを雪で冷やして凍しみ豆腐にする。別名を豆腐祭りとも言われる所以である。

降神祭(こうしんさい)
1月29日、春日神社のすぐ下、神職宅の「榊の庭」に、御幣を立てて宮司が祝詞をあげる。神の降り給うように祈念する祭りである。

柴燈の儀(さいとうのぎ)
1月30日、両当屋が神社に神酒を供える。御酒競とも言われている。また、祭りに関わる人々の罪穢れを払う「不浄祓」も併せて 行われる。

当屋使い(とうやつかい)
1月31日、両当屋から三人の若者が、座中の家全てに使いに出る。古式どおり「ものン申」と案内を乞い、明日の振舞いに招待する意味の口上を述べる。 

王祇おろし(おうぎおろし) 
いよいよ2月1日、午前三時ごろ、水ごりをとった王祗守りや提灯持ち警護の子どもたちが神社にのぼる。6時ごろ大太鼓の、響きの中、御神体の2体の王祇様は、王祇守りの肩に負われて社を降り、夜明けの雪道を上座・下座に別れていく。当屋では素襖姿の頭人が門ロで神を出迎え、王祇様は座敷の能舞台前に安置される。やがて神官が到着、王祇様に衣を着せる。

座狩り・当乞い(ざがり・とうごい)
10時すぎ上座の全員が裃姿で当屋に集まると、名前を読みあげて出欠をただす。つぎに来年の当屋を確認する「当乞い」の儀式があり、酒宴になる。そのあと座の女たち、若い者、子どもたちの振舞いがある。なお下座は座狩りと振舞いの順序が逆になる。

当屋の能・暁の使い・中入り
午後6時ごろ当屋で能が始まる。幼児が演ずる黒川独特の、「大地踏」、神聖な「翁」に続いて、能五番・狂言四番を徹夜で演じる。「翁」 のあと、最初の能(脇能)が終わる頃、下座から上座へ使いがたつ。祭りの順調な進行を喜び、明日も過怠のないように口上を述べる。ここで一休み、当屋や役者衆は舞台で夜食をとる。

王祇様の宮登り・七度半の使い
2日の明け方、能を演じ終わると、休憩ののち王祇様は神社に帰ることとなる。途中、社のしたの榊屋敷にて下座の王祇様を安置し再び「大地踏」が舞われる。そこへ上座の王祇様がおちあい、宮登りを促す七度半の使いが上座から出る。

朝尋常(あさじんじよう)
上座・下座の王祇様は狭い神社の石段を一緒にのぼり始める。途中、合図とともに両座競争の神事となり、先を争って王祇様を神社へかつぎ入れ、王祇様を神殿内の柱にたてかける。

春日神社の能
神社の舞台のまわりに、両座の頭人、座の長老たちが、提灯を前に居ならぶ。脇能二番、両座立合いの「大地踏」、式三番(所仏則)が演じられる。

かずかずの神事
能が終わると、両座の代表である若者が、競争で柱によじのぼり王祇様を舞台上方の棚にかつぎ上げる「棚上り尋常」がある。当屋渡しの盃ごと、役者衆への盃ごとのあと、ふたたび両座競争で、棚の上に吊ってある一斗餅の縄を切って落す「餅切り」、王祗様を棚からおろして衣を剥ぐ「衣剥ぎ」の行事がある。剥いだ衣を来年の王祇守りの首に巻きつけ、王祇様を内陣に運びこんでこの日の神事は全て終わる。神は神御蔵(かんみくら)にお帰りになる。そうして来年の祭りへ向かって黒川の生活は新たに廻り出す。

※(公財)黒川能保存会発行「王祇祭」黒川能解説より参照。解説書の内容について、無断転載は禁止されています。

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